【1】金利とは何か
お金の世界で非常に重要な役割を果たす「金利」。皆さんは金利についてどれくらいご存知でしょうか?この記事では、金利の基本的な意味から、私たちの生活にどのような影響を与えるのか、そして金利のある世界で賢く生きるためのヒントを、長期投資に関心がある方、住宅ローンを検討している方、そして金利についてもっと学びたい方に向けて、分かりやすく解説していきます。
そもそも金利とは「お金を貸し借りする際のレンタル料」のこと
金利を最もシンプルに表現するなら、「お金を貸し借りする際のレンタル料」です。誰かにお金を借りた場合、借りたお金(元金)に加えて支払う対価が金利です。反対に、誰かにお金を貸した場合、その対価として受け取るのが金利となります。「資金の融通に対する対価」と日本銀行は定義しており、お金という商品を一定期間借りる際の利用料というイメージを持つと理解しやすいでしょう。
例えば、皆さんが銀行から100万円を年利2%で1年間借りたとします。1年後には、借りた100万円に加えて、100万円 × 2% = 2万円の金利を支払うことになります。この2万円が、100万円というお金を1年間使うためのレンタル料なのです。
預金の金利(もらえる)と借金の金利(払う)の2つの視点を簡単に解説
金利には、大きく分けて「受け取る金利」と「支払う金利」の2つの側面があります。
- 受け取る金利(預金金利): 皆さんが銀行にお金を預けると、その見返りとして銀行から支払われるのが預金金利です。2025年4月現在、日本のメガバンクの普通預金金利は約0.2%、ネット銀行では条件によって0.2%~0.6%程度となっています。これは、皆さんが銀行にお金を貸していることに対する対価と言えます。
- 支払う金利(借入金利): 住宅ローンなどでお金を借りる際には、借りたお金(元金)に加えて金利を支払います。2025年4月時点で、変動金利型の住宅ローンはメガバンクで約0.7%、固定金利型は約1.9%程度となっています。この金利は、銀行からお金を借りるための対価です。
実質金利(名目金利-インフレ率)にも軽く触れると、より深みが出る
金利を考える上で、名目金利と実質金利という2つの概念を理解することが重要です。
- 名目金利: これは、表面上に表示されている金利のことです。例えば、預金金利が0.2%という場合、この0.2%が名目金利にあたります。
- 実質金利: これは、名目金利から物価上昇率(インフレ率)を差し引いたものです。実質的に自分のお金の価値がどれだけ増えたのか(または減ったのか)を知るために重要な指標となります。
実質金利の計算式は以下の通りです:
実質金利 = 名目金利 - 物価上昇率(インフレ率)
例えば、預金金利(名目金利)が0.2%で、物価上昇率が2%だった場合、実質金利は 0.2% – 2% = -1.8% となります。これは、名目上は預金額が増えているように見えても、物価が上がっているため、実質的な購買力は年間1.8%減少していることを意味します。2025年現在、日本のインフレ率は2%台半ばで推移しており、預金だけではお金の価値が実質的に目減りしている状況と言えるでしょう。
【2】金利が生活に与える影響
金利の変動は、私たちの日常生活の様々な側面に影響を与えます。ここでは、【ローン】【預金】【物価】【投資】という4つの視点から、金利が私たちの生活にどのような影響を与えるのかを具体的に見ていきましょう。
【ローン】住宅ローン、カーローン、教育ローンなど、借りる側には金利の上昇・低下が直撃する
住宅ローン、カーローン、教育ローンなど、お金を借りる際には必ず金利が発生します。金利の変動は、毎月の返済額や総返済額に直接的な影響を与えます。
- 金利が上昇した場合: 借入金利が上がると、毎月の返済額が増加し、総返済額も大きくなります。特に住宅ローンのように借入金額が大きく、返済期間が長いローンほど、金利上昇の影響は大きくなります。変動金利型のローンを利用している場合は、市場の金利動向によって返済額が変動するため注意が必要です。
- 金利が低下した場合: 借入金利が下がると、毎月の返済額が減少し、総返済額も小さくなります。すでにローンを組んでいる場合でも、借り換えを検討することで、金利負担を軽減できる可能性があります。例えば、3,000万円の住宅ローンを金利1.2%から0.7%に借り換えた場合、25年間で総支払利息が約375万円も差が出る可能性があります。
【預金】金利が高いと預金の利息収入が増えるが、低いとほとんど増えない
銀行に預金することで得られる利息は、預金金利によって決まります。
- 金利が高い場合: 預けたお金に対して高い利息が付くため、効率よく資産を増やすことができます。
- 金利が低い場合: 現在の日本のように低金利環境下では、預金から得られる利息はごくわずかであり、資産を大きく増やすことは期待できません。前述の通り、インフレ率が高い状況では、預金しているだけでは実質的に資産が目減りしてしまう可能性もあります。
【物価】金利上昇→消費が冷え込む→物価安定。金利低下→消費が活発→物価上昇(インフレ)
金利は、物価の安定にも重要な役割を果たします。中央銀行は、金利を調整することでインフレ(物価上昇)をコントロールしようとします。
- 金利が上昇した場合: 企業の借入コストが増加し、設備投資などの活動が抑制されます。個人の住宅ローンや自動車ローンなどの金利も上昇するため、消費意欲も低下します。需要が減少することで、物価の上昇が抑えられる傾向があります。また、預金金利が上昇すると、消費よりも貯蓄を優先する人が増えるため、さらに消費が抑制されやすくなります。
- 金利が低下した場合: 企業の借入コストが下がり、投資や事業拡大が活発になります。個人のローン金利も低下するため、住宅や耐久消費財などの購入意欲が高まります。需要が増加することで、物価が上昇しやすくなります(インフレ)。また、預金金利が低下すると、貯蓄よりも消費や投資にお金を回そうとする人が増えるため、消費が促進される傾向があります。
日本銀行は、物価の安定を図るため、物価上昇率2%を目標として金融政策を運営しており、2025年現在、段階的な金利引き上げが行われています。
【投資】金利が低いと株や不動産に資金が向かいやすい
金利の水準は、株式市場や不動産市場などの投資市場にも大きな影響を与えます。
- 金利が低い環境下: 預金の魅力が低下するため、より高いリターンを求めて株式や不動産などのリスク資産への投資が増加する傾向があります。企業の資金調達コストも低下するため、収益性が向上し、株価が上昇しやすくなります。また、低金利での借入が可能になるため、不動産投資が活発化し、不動産価格が上昇する可能性もあります。
- 金利が上昇する環境下: 預金の魅力が相対的に高まり、リスク資産から安全資産である預金への資金シフトが生じる可能性があります。企業の資金調達コストが上昇し、収益性が低下するため、株価が下落しやすくなります。借入コストの上昇により、不動産投資の魅力が低下し、不動産価格が下落したり、上昇の勢いが鈍化する可能性があります。2025年の日本では、政策金利の引き上げを受けて、銀行株などの金融セクターが注目されています。金利上昇局面では、貸し付けからの利息収入が増えるため、銀行には有利な環境となるためです。
【3】気付きにくい「お金の秘密」
私たちの生活の中には、普段はあまり意識しないものの、長期的に大きな影響を与える「お金の秘密」が隠されています。特に金利に関連する部分は注意が必要です。
金利は見えにくいコストになっている(例:クレジットカードリボ払いの高金利)
日常生活において、金利は意識しにくいコストの一つです।特に注意が必要なのが、クレジットカードのリボ払いです。リボ払いは毎月の支払額を一定にできる便利な仕組みですが、その金利は非常に高いことが多いです。一般的なクレジットカードのリボ払いの金利は年率15.0%~18.0%程度であり、これは住宅ローンの金利(約0.7%~1.9%)と比べると、10倍以上もの高金利です。気づかないうちに多額の利息を支払ってしまう可能性があるため、リボ払いの利用は慎重に検討する必要があります。
インフレ下では「預金しているだけで目減り」するリスクがある
前述の実質金利の考え方からも分かるように、インフレ(物価上昇)が続いている状況では、名目金利が低いと、預金しているだけではお金の価値が実質的に目減りしてしまうリスクがあります。例えば、預金金利が0.2%であっても、物価が2.5%上昇していれば、実質的な金利はマイナスとなり、1年間で購買力が低下してしまうのです。金利やインフレを意識せずに銀行にお金を預けておくだけでは、「知らない間に損をする」可能性があります。
国債や中央銀行の動き(金利政策)が、個人の家計にじわじわ影響している
中央銀行(日本の場合は日本銀行)は、金利政策を通じて経済全体の安定を図っています。政策金利の引き上げや引き下げは、直接的に銀行間の取引金利に影響を与え、それが住宅ローン金利や預金金利など、私たちの家計に関わる金利にも波及していきます。また、政府が発行する国債の利回りも、市場の金利水準を示す重要な指標の一つであり、長期的な金利動向を把握する上で参考になります。このように、普段意識することは少ないかもしれませんが、国債の利回りや中央銀行の金融政策は、私たちの家計に間接的に、しかし確実に影響を与えているのです。2024年以降、日本銀行はインフレ定着を背景に利上げに動いており、長らく続いたゼロ金利・量的緩和からの転換期を迎えています。このような金利環境の変化は、私たちの暮らしに大きな影響をもたらします。
金利を意識しないと「知らない間に損をする」例(銀行に寝かせたお金 vs 投資に回した場合の差など)
金利を意識しないことが、長期的に見て大きな損失につながる可能性があります。例えば、低金利の銀行預金に長期間お金を寝かせているだけの場合と、インフレ率を上回るリターンを目指して一部を投資に回した場合では、長期的に見ると大きな資産の差が生まれる可能性があります。もちろん投資にはリスクが伴いますが、「お金をただ寝かせておくこと」にもインフレによる価値目減りというリスクがあることを理解し、金利や経済の動向に関心を持つことが、「知らない間に損をする」ことを避ける第一歩となります。
【4】金利のある世界とは?(まとめ)
金利は「お金の時間的価値」を反映している
金利の本質は、「お金の時間的価値」を表していると言えます。つまり、「今日の100円」と「1年後の100円」の価値は同じではないということです。この違いが生じる理由としては、インフレによる購買力の低下、お金を運用せずに持っていることによる機会費用の損失、そして「今すぐ使えるお金」をより価値が高いと考える人間の時間選好などが挙げられます。金利は、これらの要素を総合的に反映した「時間的価値の差」を数値化したものと言えるでしょう。
金利があることで、経済は回っている(貸す人も借りる人もインセンティブがある)
金利があるからこそ、お金を余らせている人(貯蓄者)は預金や投資によって利息を得るインセンティブが生まれ、お金を必要としている人(企業や個人)は金利を支払うことで資金を調達し、経済活動を行うことができます。企業は借りたお金で設備投資を行い、個人は住宅を購入するなど、経済がスムーズに循環していく上で、金利は潤滑油のような役割を果たしているのです。
ただし、無意識に金利に支配されると、長期的に大きな損になる可能性がある
金利は経済活動を円滑にする上で不可欠なものですが、私たちが無意識のうちに高金利のローンを利用したり、低金利の預金にばかり頼っていると、長期的に見て大きな損失につながる可能性があります。特に、インフレが進む現代においては、金利の動向を常に意識し、賢くお金と付き合っていくことが重要です。
「金利リテラシー」を持つことの重要性を締めに伝える
これからの時代を生き抜くためには、「金利リテラシー」、つまり金利の仕組みやその影響を理解し、適切な金融商品を選択する能力を高めることが非常に重要です。金利の動向を理解することで、投資のタイミングや資産配分を適切に行ったり、金利上昇によるリスクに備えて対策を講じることができます。金利リテラシーを高めることは、将来の安定した資産形成につながる第一歩と言えるでしょう。

