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月15万円の生活費の人が無職FIREする方法(必要資産額は?)

月15万円の生活費で無職FIREを達成するための計画

FIRE(Financial Independence, Retire Early)は、経済的自立を達成し、早期退職を目指す考え方です。月15万円(年間180万円)の生活費で無職FIREを実現するための具体的な計画を、最新情報に基づき試算します。

FIRE達成に必要な資金額

前提条件:

  • 年間生活費: 15万円/月 × 12ヶ月 = 180万円
  • 投資リターン: 年率7%
  • 取り崩しルール: 4%ルール(年間生活費を資産の4%で賄う)
  • 税金:
    • 資産を取り崩す際、そのうち50%が含み益(キャピタルゲイン)であると仮定します。
    • キャピタルゲイン益に対して20%の税金(所得税15%、住民税5% ※復興特別所得税は簡略化のためここでは含めず計算)がかかります。

計算:

  1. 税引き後の手取り年間生活費: 180万円が必要です。
  2. 税金を考慮した年間必要取り崩し額(額面)の計算:
    • 取り崩し額のうち、税金がかかるのは含み益部分(50%)です。
    • 税率はこの含み益部分に対して20%です。
    • したがって、取り崩し額全体に対する実効税率は、50% × 20% = 10%となります。
    • つまり、額面の取り崩し額から10%が税金として引かれます。手取り額は額面の90% (100% – 10%) になります。
    • 手取りで180万円を得るために必要な額面の取り崩し額 = 180万円 ÷ (1 – 0.10) = 180万円 ÷ 0.90 = 200万円
  3. 4%ルールに基づく必要資金額の計算:
    • 年間200万円(税込み)を資産の4%で賄うためには、
    • 必要資金額 = 200万円 ÷ 0.04 = 5,000万円

結論:

月15万円の生活費で、税金(キャピタルゲイン税20%を考慮)と4%ルールに基づいて無職FIREを達成するには、約5,000万円の資産が必要です。年7%のリターンが達成できれば、資産を維持または緩やかに成長させながら生活できる計算になります。

月15万円の支出モデルケース(無職・単身世帯を想定)

無職の場合、会社員時代の厚生年金や健康保険から、国民年金と国民健康保険に切り替わります。これらを考慮した支出モデルを作成します。

費目金額(円/月)備考
住居費50,000家賃・管理費など。地域や物件により大きく変動。FIRE達成のためには比較的安価な住居を選択することが多い。
食費30,000自炊中心。外食は控えめに。
水道光熱費10,000電気・ガス・水道代。季節変動あり。
通信費5,000スマートフォン(格安SIM)、インターネット回線。
国民年金保険料16,980令和6年度(2024年度)の金額。毎年改定される。免除・猶予制度もあるが、将来の受給額に影響するため納付を前提とする。 出典: 日本年金機構
国民健康保険料7,000【重要】 自治体や前年の所得によって大きく変動します。無職(所得が低い)場合、軽減措置が適用されることが多いですが、最低額は存在します。これはあくまで仮の試算値であり、必ずお住まいの自治体で確認が必要です。所得割・均等割・平等割などで計算されます。
交通費5,000公共交通機関、自転車維持費など。
日用品・被服費5,000トイレットペーパー、洗剤、衣類など。
趣味・娯楽費10,000書籍、映画、交際費など。
その他(予備費)11,020医療費(自己負担分)、冠婚葬祭、小規模な修繕など、不測の事態に備える費用。
合計150,000

補足:

  • 国民健康保険料: FIRE直後は前年の所得に基づいて計算されるため高額になる可能性があります。所得が投資収益(譲渡所得など)のみになった場合、その所得に応じて計算されます。軽減・減免制度については必ず自治体に確認してください。
  • 税金(住民税・所得税): 上記モデルでは、資産取り崩し益以外の所得がない前提のため、毎月の支出としては計上していません。資産取り崩し時のキャピタルゲイン税は、上記1.で計算した必要資金額に織り込み済みです。もし他に所得があれば別途発生します。
  • ライフスタイル: このモデルは一例です。住居費を抑えれば他の項目に余裕が出ますし、趣味や交際を重視すれば他の項目を削る必要があります。

65歳以降、月6万円の収入がある場合の必要資金額

65歳になり、公的年金などで月6万円(年間72万円)の収入が得られるようになった場合、資産取り崩しへの依存度を減らすことができます。

計算:

  1. 年間生活費: 180万円(変わらないと仮定)
  2. 年金収入: 6万円/月 × 12ヶ月 = 72万円
  3. 資産から補填する必要がある年間生活費(手取り): 180万円 – 72万円 = 108万円
  4. 税金を考慮した年間必要取り崩し額(額面):
    • 手取りで108万円を得るために必要な額面の取り崩し額 = 108万円 ÷ (1 – 0.10) = 108万円 ÷ 0.90 = 120万円
  5. 4%ルールに基づき、この取り崩し額を賄うために必要な資金額:
    • 必要資金額 = 120万円 ÷ 0.04 = 3,000万円

結論:

65歳時点で月6万円の収入(年間72万円)が見込める場合、それ以降の生活を4%ルールで維持するためには、資産が最低でも3,000万円残っていれば良い計算になります。

つまり、FIRE開始時の5,000万円から、65歳になるまでに2,000万円を取り崩す(または市場の変動等で減少する)ことが許容できる範囲となります。ただし、これはインフレや生活費の変化、税制の変更などを考慮しない単純計算です。

その他の重要な考慮事項

  • インフレ: 物価上昇により、将来的に月15万円では生活が苦しくなる可能性があります。資産運用でインフレ率を上回るリターンを目指す、生活費の見直し、年金受給額の変動などを考慮する必要があります。
  • 投資リスク: 年7%のリターンはあくまで平均的な期待値であり、保証されるものではありません。市場の暴落(特にリタイア直後)は資産寿命に大きな影響を与えます(Sequence of Returns Risk)。
  • 税制・社会保険制度の変更: 将来的に税率や社会保険料、年金制度が変更される可能性があります。
  • 医療費・介護費: 高齢になると医療費や介護費が増加する可能性があります。予備費や別途備えが必要です。
  • ライフイベント: 結婚、住宅購入、家族の介護など、予期せぬ大きな支出が発生する可能性も考慮に入れるべきです。
  • NISA・iDeCoの活用: 投資を行う際は、NISA(新NISA)やiDeCo(個人型確定拠出年金)などの税制優遇制度を最大限活用し、効率的に資産形成・取り崩しを行うことが重要です。特に新NISAは非課税保有限度額が大きく、FIRE計画において中心的な役割を果たす可能性があります。

まとめ

月15万円の生活費で無職FIREを目指す場合、税金や社会保険料を考慮すると、約5,000万円の資産が一つの目安となります。ただし、これは多くの前提条件に基づいた試算であり、ご自身の状況に合わせて詳細な計画を立て、定期的に見直すことが不可欠です。特に国民健康保険料は変動要素が大きいため、注意が必要です。65歳以降に年金収入が見込める場合、必要な資産額は約3,000万円に軽減されます。