マネーリテラシー

「金持ち父さん貧乏父さん」の著者ロバートキヨサキ氏から学ぶ金融リテラシー

金融リテラシーは経済的成功の土台

お金持ちになりたい、将来のためにお金を増やしたいと考える皆さんにとって、最初に知っておくべき大切なことは、「金融リテラシー」の重要性です。ロバート・キヨサキ氏は、経済的な成功の基盤はまさにこの金融リテラシーにあると強く主張しています。金融リテラシーとは、お金に関する知識や判断力のことで、これを身につけることが、将来の経済的な自由を手に入れるための第一歩となるのです。彼は、金融リテラシーがない状態でお金を扱うのは、まるで地図を持たずに知らない場所を旅するようなものだと指摘しています。どこへ向かえばいいか分からないし、途中で迷ってしまう可能性も高くなってしまいます。

キヨサキ氏は、多くの人が経済的に苦労する原因の一つは、十分な金融教育を受けていないことだと指摘しています。お金持ちになるためには、単に一生懸命働くことや、良い成績を取って安定した仕事に就くだけでは不十分だと彼は説いています。なぜなら、学校教育では、読み書き計算といった基礎的な学力や、社会で働くためのスキルは教えてくれても、残念ながらお金そのものについての実践的な知識や、富を築くための方法はほとんど教えてくれないからです。キヨサキ氏は、このような従来の教育システムには限界があると考えており、私たち自身が積極的にお金について学ぶこと、つまり自己教育が非常に重要だと強調しています。

なぜ学校でお金を学ばないのか?

学校の目的は、社会で働くための基本的な能力や、社会の一員として必要な知識を教えることにあります。しかし、お金持ちになる方法や、投資、税金といった、私たちの生活と深く関わるにもかかわらず、複雑な金融の仕組みについては、ほとんどの学校で学ぶ機会がありません。キヨサキ氏は、学校教育が「従業員」や「自営業者」を育てることに偏っており、「ビジネスオーナー」や「投資家」になるための教育が欠けていると批判しています。彼によれば、伝統的な学校教育は、決められた枠組みの中で働くことや、リスクを避ける考え方を教えがちであり、これが多くの人が経済的な自由を得られない原因の一つとなっているというのです。だからこそ、学校で教えてくれないお金の知識は、自分自身で意識して学ぶ必要があるのです。例えば、貯金の仕方や家計簿の付け方は知っていても、稼いだお金を守るための税金の知識や、お金を増やすための投資の知識となると、知っている人はぐっと少なくなるのが現状かもしれません。

金融IQを高めよう

キヨサキ氏は、お金に関する知識やスキルを「金融IQ(金融知能指数)」と呼んでいます。そして、この金融IQを高めることが、経済的な成功には不可欠だと主張しています。彼が考える金融IQには、主に5つの能力があります。一つ目は、より多くのお金を稼ぐ能力。これは、単に給料を増やすだけでなく、新しい収入源を作ることも含みます。二つ目は、稼いだお金を守る能力です。税金やインフレ、訴訟などから資産を守る知識がこれにあたります。三つ目は、予算管理と余剰資金を作る能力です。収入を管理し、投資に回せるお金を生み出す力が重要です。四つ目は、レバレッジの使い方です。他人のお金や時間を賢く活用してお金を増やす方法を指します。五つ目は、金融情報を的確に判断する能力です。市場の動きや投資先を見極める力が求められます。これらの能力は相互に関連しており、バランスよく高めることが、経済的な自立への鍵となります。例えば、一生懸命稼いでも、税金に無知だったり、無駄遣いが多かったりすると、なかなか資産は増えません。逆に、少しの収入でも、賢く管理し、投資に回すことで、将来大きなお金に育つ可能性があります。金融IQを高めることは、お金に振り回されるのではなく、お金を自分の味方につけるためのスキルなのです。

資産と負債の決定的な違いを知る

ロバート・キヨサキ氏の教えの中で、最も重要で、そして多くの人にとって衝撃的な概念の一つが、「資産」と「負債」の定義です。従来の会計の考え方では、資産は自分が持っているもの(例えば、家、車、貯金など)、負債は借金(住宅ローン、車のローンなど)とシンプルに考えられます。しかし、キヨサキ氏は全く異なる視点を提供します。彼は、お金持ちになるための最初のステップは、この「資産と負債の違いを理解すること」だと断言しています。彼の定義は、持っているものや借金があるかどうかではなく、「キャッシュフロー」、つまりお金の流れに注目するものです。

お金を生む「資産」とは?

キヨサキ氏の定義では、「資産とは、あなたのポケットにお金を入れてくれるもの」です。つまり、あなたが特に働かなくても、定期的にお金を生み出してくれるものが資産なのです。例えば、家賃収入を生む投資用不動産、株式投資から得られる配当金、あなたが作ったビジネスが生み出す利益、あるいは印税や特許料なども資産となり得ます。これらの資産は、あなたの財布にお金を運んできてくれる「金の卵を産むガチョウ」のような存在だと彼は例えています。資産を増やせば増やすほど、あなたのポケットに入るお金が増え、経済的に豊かになっていくという考え方です。例えば、1ヶ月に1万円の家賃収入を生む小さなガレージを資産として持っていたとします。これが10個あれば、毎月10万円が自動的に入ってくる計算になります。このように、資産はあなたが眠っている間にもお金を生み出し続けてくれるのです。

お金を奪う「負債」とは?

一方、キヨサキ氏の定義では、「負債とは、あなたのポケットからお金を取り出すもの」です。これは、あなたから定期的にお金が出ていってしまうものを指します。典型的な例としては、住宅ローン、自動車ローン、クレジットカードの借金、そして維持費がかかる消費財などです。これらの負債は、あなたの財布からお金を奪っていく「穴の開いたバケツ」のような存在だと彼は例えています。負債が増えれば増えるほど、あなたの手元からお金が出ていくため、経済的には苦しくなってしまうというわけです。例えば、月々3万円の支払いがある車のローンは、あなたのポケットから毎月3万円を奪っていきます。また、使えば使うほど維持費がかかるもの(例えば、高価なブランド品や趣味の道具など)も、キャッシュフローの視点から見れば負債となりうるのです。

自宅は資産か負債か?

キヨサキ氏の定義で特に議論を呼ぶのが、「自宅は資産か負債か」という問いです。多くの人は、家は自分の所有物であり、将来価値が上がるかもしれないから資産だと考えがちです。しかし、キヨサキ氏は、あなたが住んでいる自宅は、キャッシュフローの視点から見れば「負債」であると主張します。なぜなら、たとえ住宅ローンを完済したとしても、固定資産税、火災保険料、修繕費など、定期的にお金が出ていくからです。つまり、あなたのポケットからお金を取り出すものだから、負債なのです。もちろん、自宅は住む場所として大切ですし、精神的な満足感も大きいですが、お金持ちになるための「資産」としてはカウントできないというのが彼の考え方です。真の資産とは、あなたにお金をもたらしてくれるもの。この考え方の違いが、経済的な将来を大きく左右するとキヨサキ氏は説いています。例えば、同じ1000万円があっても、それを自宅の頭金に使えばお金は出ていく一方ですが、家賃収入が見込める投資用不動産の頭金に使えば、毎月プラスのキャッシュフローを生み出す可能性があります。どちらにお金を使うかで、将来の経済状況は全く変わってくるのです。

キャッシュフロー・クワドラント:収入源を考えるヒント

お金を稼ぐ方法は一つではありません。ロバート・キヨサキ氏は、私たちが収入を得る方法を、その性質によって4つのグループに分類しました。これを「キャッシュフロー・クワドラント」と呼んでいます。このモデルを理解することで、自分が今どのグループに属しているのか、そして経済的な自由を得るためにはどのグループを目指せば良いのかが見えてきます。

収入源の4つのタイプを知る

キャッシュフロー・クワドラントは、以下の4つの象限(クワドラント)で構成されています。

  • E (Employee) – 従業員: 会社や組織に雇われて働く人たちです。時間と労働力を提供する代わりに、給料という形で収入を得ます。安定した収入が得やすいというメリットがある一方で、収入には上限があり、働くことをやめると収入が途絶えてしまうという特徴があります。
  • S (Self-employed) – 自営業者: 医師、弁護士、フリーランスのプログラマー、個人商店の店主など、自分で事業を営む人たちです。自分のスキルや知識、時間を使って直接収入を得ます。Eよりも自由度は高いかもしれませんが、収入は自分の労働力に大きく依存するため、自分が働けなくなると収入が途絶えるリスクがあります。
  • B (Business owner) – ビジネスオーナー: 従業員を雇い、システムを構築して事業を経営する人たちです。自分自身が常に現場で働く必要はなく、構築したシステムや他の人の労働によって収入を得ます。事業が成長すれば収入も大きく伸びる可能性がありますが、事業を成功させるためにはリーダーシップや経営の知識、大きなリスクを取る覚悟が必要です。
  • I (Investor) – 投資家: お金そのものを働かせて収入を得る人たちです。不動産、株式、債券、事業などに投資し、そこから得られる家賃収入、配当金、利子、売却益などを収入とします。自分自身が働く必要がないため、時間的な自由を得やすいのが特徴です。投資額が大きくなれば収入も大きく伸びますが、市場の変動や投資先の失敗によるリスクも伴います。

経済的自由への道筋

キヨサキ氏は、キャッシュフロー・クワドラントを説明する際に、左側のEとSの象限と、右側のBとIの象限を対比させます。左側のEとSは、基本的に「労働によってお金を稼ぐ」人たちです。自分が働かなければ収入は得られません。これを「アクティブインカム」と呼びます。一方、右側のBとIは、システムや資本を働かせてお金を得る人たちです。これによって得られる収入を「パッシブインカム(受動的収入)」と呼びます。キヨサキ氏は、真の経済的自由を達成するためには、左側から右側、特にBやIの象限へ移行することが重要だと主張しています。なぜなら、パッシブインカムが増え、生活に必要な支出を全て賄えるようになった時、初めてあなたは時間と場所にとらわれずに自由に生きられるようになるからです。これを彼は「ラットレースからの脱出」と表現します。もちろん、EやSが悪いわけではありません。安定した収入は生活の基盤となります。しかし、経済的な自由を目指すなら、BやIの考え方や行動を学び、徐々に右側の象限からの収入を増やしていくことが大切だと彼は説いているのです。

お金に働いてもらう:投資と起業家精神

経済的な自由を達成するためには、単に「自分が働く」のではなく、「お金に働いてもらう」仕組みを作ることが不可欠だとロバート・キヨサキ氏は強調しています。そのための主な手段が、賢い「投資」と「起業家精神」です。これらは、先ほど説明したキャッシュフロー・クワドラントの右側、つまりB(ビジネスオーナー)やI(投資家)の考え方と行動に直結します。

不動産投資の考え方

キヨサキ氏が特に重視している資産の一つが不動産です。彼は不動産投資を、収入を生み出す「資産」の典型例として挙げています。彼の考える不動産投資のポイントは、単に買って売って利益を得る(キャピタルゲイン)ことだけでなく、毎月安定した家賃収入(キャッシュフロー)を生み出す物件を選ぶことです。例えば、1000万円でアパートを買い、毎月10万円の家賃収入があるとします。ここからローンの返済や管理費、税金などを差し引いても、毎月手元にプラスの金額が残れば、それはキヨサキ氏の言う「お金を生む資産」となります。さらに、彼は「レバレッジ」、つまり借金(ローン)を上手に使うことを推奨しています。自分のお金だけでなく、銀行からお金を借りて投資することで、より大きな規模で資産を購入し、得られる家賃収入も大きくできる可能性があるからです。ただし、もちろんリスク管理は非常に重要です。空室が出たり、急な修繕が必要になったりする可能性も考慮しておく必要があります。

ビジネスオーナーになるということ

投資だけでなく、自分でビジネスを立ち上げ、ビジネスオーナー(B)になることも、キヨサキ氏が推奨する経済的自由への道です。ビジネスオーナーは、自分自身が働くのではなく、システムや他の従業員が働くことで収益を生み出します。例えば、あなたがコンビニを経営するとします。あなたが毎日レジに立つのではなく、従業員を雇い、在庫管理や販売促進の仕組み(システム)を作ることで、お店は自動的に運営され、利益を生み出します。この利益が、あなたの収入となるのです。キヨサキ氏は、「金持ち父さん貧乏父さん」の中で、友人のお父さん(金持ち父さん)から、お金はシステムによって生み出されるという考え方を学んだと語っています。ビジネスオーナーになるためには、「起業家精神」、つまり新しいアイデアを生み出し、リスクを取り、失敗から学ぶ姿勢が不可欠です。キヨサキ氏は、「ミダスのタッチ」という著作で起業家精神を賞賛し、失敗を恐れずに挑戦することの重要性を説いています。

レバレッジと良い借金

従来の金融アドバイスでは、「借金は全て悪」と考えることが多いかもしれません。しかし、キヨサキ氏は借金を「良い借金」と「悪い借金」に明確に区別し、良い借金は積極的に活用すべきだと主張します。「良い借金」とは、収入を生み出す資産を購入するために利用する借金のことです。先ほどの不動産投資の例のように、銀行からお金を借りて収益物件を購入し、その家賃収入でローンの返済を賄いつつ利益を得る場合、そのローンは良い借金となります。一方、「悪い借金」とは、キャッシュフローを消費する負債を購入するために利用する借金のことです。例えば、ローンを組んで買った車の維持費や、クレジットカードの借金などは、あなたのポケットからお金を奪っていく一方なので、悪い借金にあたります。キヨサキ氏は、裕福な人々は「他人のお金(OPM:Other People’s Money)」や「他人の時間(OPT:Other People’s Time)」、そしてレバレッジを賢く使って富を築いていると解説しています。これは、自分一人ですべてをまかなうのではなく、他人のリソースを借りて、より大きな成果を目指すという考え方です。良い借金を戦略的に利用することで、より早く、より大きな資産を築くことが可能になると彼は説いています。

お金持ちになるためのマインドセット

ロバート・キヨサキ氏の教えは、単なる投資テクニックやお金の知識だけでなく、「お金に関する考え方」、つまりマインドセットの重要性を非常に強く説いています。お金持ちになるためには、貧乏な人や中流階級の人々とは違う考え方や習慣を身につける必要があるというのです。このマインドセットの変化が、経済的な成功への大きな鍵を握っています。

リスクを恐れず挑戦する

多くの人は、お金を失うことや失敗することを恐れて、安全な道を選びがちです。しかし、キヨサキ氏は、計算されたリスクを取ることの重要性を繰り返し強調しています。彼は「リスクは無知から生まれる」と説き、金融について学ぶことで、リスクを理解し、管理できるようになると述べています。例えば、投資には元本割れのリスクがありますが、何も学ばずに手当たり次第に投資するのと、しっかりと企業や市場を分析してから投資するのとでは、リスクの大きさや質が全く異なります。キヨサキ氏は、失敗は避けられないものであり、むしろ失敗から学ぶことこそが成長の糧となると教えています。起業や投資の道では、予想外の困難に直面することも多いですが、そこから学びを得て、次に活かすことが成功への鍵となります。彼は、安全を求めすぎるあまり、何も挑戦しないことこそが最大のリスクであると考えているのです。

継続的な学習のすすめ

経済や社会は常に変化しています。昔の常識が通用しなくなったり、新しい技術やビジネスモデルが登場したりします。このような変化の速い時代に置いていかれないためには、お金や投資、経済について継続的に学び続けることが非常に重要です。キヨサキ氏は、これを「生涯学習」と呼んでいます。彼は、市場のトレンドを理解し、経済的な危機に備えることの重要性を説いています。例えば、「金持ち父さんの予言」という本では、来るべき経済危機に備えることの必要性を指摘し、投資家自身が「ノアの箱舟」、つまり困難な時代を乗り越えるための準備をするべきだと述べています。また、最近の著作では、仮想通貨や貴金属といった新しい資産クラスへの投資にも言及しており、市場の変化に対応しようとする姿勢が見られます。金融リテラシーを高めることは一度やれば終わりではなく、常に新しい情報を学び、知識をアップデートしていくことが求められるのです。

税金との賢い付き合い方

税金は、収入が得られれば必ずついて回るものです。多くの人は税金を「支払うもの」として受け入れていますが、キヨサキ氏は、税法を理解し、それを戦略的に活用することの重要性を説いています。彼は、「若くして豊かに引退する方法」の中で、税務戦略が経済的自由を達成する上で重要だと解説しています。従業員として給料を得る場合と、ビジネスオーナーや投資家として収入を得る場合では、税金の計算方法や使える節税策が異なります。例えば、ビジネスオーナーや投資家は、事業に関連する様々な費用を経費として計上することで、税金がかかる所得を減らすことができます。また、不動産投資には減価償却といった税務上のメリットもあります。キヨサキ氏は、裕福な人々は専門家(税理士など)の力を借りて、合法的に税負担を最小限に抑えていると指摘しています。これは、単に税金を逃れるということではなく、税法というルールを理解し、その範囲内で賢く行動するということです。税金に関する知識を身につけることは、手元に残るお金を最大化するために非常に重要なスキルなのです。